犬 腎臓
お役立ち情報
- 腎臓のトラブル
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中医学では「腎」は生命力の源と考えられており、五臓の中でも最も重要視されます。
「腎臓」は、加齢や過労などにより機能が低下するため、早めのケアが重要です。
目次
- 1 腎臓の機能
- 2 腎機能の低下
- 3 慢性腎臓病のステージ
- 4 中医学の捉え方
- 5 慢性腎臓病の治療方法
- 6 慢性腎臓病の食事療法食
機 能 腎臓の機能
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腎臓の機能には、
⒈尿を作る
⒉体内環境を整える
⒊血圧を調整する
⒋血液を作る働きを助ける
⒌強い骨を作る
などの重要な役割があります。
腎臓は腰辺りに左右1つずつあり、「ネフロン(腎単位)」という小さな構造がそれぞれ尿を作っています。ネフロンは猫で約40万、犬で約80万個あります。
ネフロンは
①糸球体(血液を濾過する毛細血管の塊)
②ボーマン嚢(糸球体を包む袋)
③尿細管(糸球体で濾過した原尿から体に必要なものを再吸収し、必要でないものは尿として排泄する管)
の3つで構成されています。
症 状 腎機能の低下
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腎臓が悪くなると、糸球体の働きが異常になり、本来、体に残すべきものが漏れ、様々な症状が現れます。
例えば、尿にタンパクが出る「タンパク尿」。余分な水分が排泄できないとむくみが出て、血圧に影響します。腎臓検査に使われるクレアチニン、BUN(尿素窒素)や尿酸など、腎機能が低下すると血液中の数字が高くなり、ひどくなると尿毒症に繋がる恐れがあります。
クレアチニンは筋肉代謝に関わる老廃物で、正常な場合は尿の中に排泄されますが、腎臓の濾過力が低下すると、血液中にたくさんのクレアチニンが残り、血清クレアチニン値が高くなります。
ステージ 慢性腎臓病のステージ
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ワンちゃんやネコちゃんの慢性腎臓病は、右下の図表のように4つのステージに分類されます。ステージ1では腎機能は正常の1/3まで低下、ステージ2では1/4まで低下しますが、症状としては見えにくいです。
腎臓は一方が休めば一方が働くなど、役割を代替しあう事ができるためステージ1や2では、ほとんど自覚症状はありません。そのため定期検診などで、突然、腎臓が悪いと診断されることがあります。
補 腎 中医学の捉え方
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中医学の「腎」は西洋医学の「腎臓」とは意味合いが違います。「腎の系統」を意味し、腎臓を中心に多岐に繋がっているところを一つのグループと捉えます。
「腎は水を司る」とも言われ水分代謝に関与します。現代医学でいう「腎臓で尿を作り、老廃物を排泄する」働きがあります。
また、腎は精を貯蔵する「蔵精」の働きがあり、造血や生殖、成長発育など、生まれてから、老化、死ぬまでの全てに関連するところです。そのため「先天の本」と言われ、五臓の中で最も重要視されます。「腎は命の源」と言っても過言ではありません。
治療方法 慢性腎臓病の治療方法
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正常時の二つの腎臓の機能を併せて100%として、30%以上が働いていれば生命を維持することができますが、30%を下回るとBUN(血中尿素窒素)、クレアチニンなどの血中の窒素化合物の量を表す検査値が上昇していき、治療が必要になります。
腎臓の中にある糸球体の「濾過能力」が低下し、分子量の大きな老廃物が詰まってしまいます。それをなんとか利尿を促進すると共に、濾過、再吸収を促進するために点滴をし、併せてリンやカリウム等の電解質を調整してあげると、BUN、クレアチニンの数値を下げる事が期待できます。
犬猫の慢性腎臓病の場合、人のような透析は現在の獣医療では難しいので、静脈点滴や皮下注射、食事と薬物、吸着剤などを使って、できるだけ余剰物質を吸着させ排泄していく治療法となります。
食 事 慢性腎臓病の食事療法食
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専用に設計された特別療法食は、どのメーカーのフードも基本的な考え方は同じで病態により成分を調整していますが、慢性腎臓病の場合はドライフードよりウェットフードの使用をお勧めしています。
BUN、クレアチニン等の高窒素血症をコントロールするための飲水量を飲み水だけでまかなおうとすると、消化器系の負担が大きくなります。
ウェットフードは素材そのものが持つ水分を含め、水分量が多いので、消化器系の負担も少なく、体内での水和状態も維持しやすくなると考えています。
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